100ヤード以内のアプローチ、練習場では掴みきれないリアルな距離感を、もっと実践的に練習したい……。
子供と一緒にコースを回ってみたいけど、料金もマナーも、なんだかハードルが高い……。
滋賀県高島市にある「安曇川スポーツセンター ショートコース」は、そんなゴルファーたちの切実な願いを、想像以上の形で叶えてくれる場所です。

このコース最大の魅力は、その驚異的なコストパフォーマンスにあります。料金はなんと、全日3,000円で一日中回り放題。

さらに驚くべきは、6歳から18歳まではワンコインの500円で、同じく時間無制限でプレーが可能という点です。子連れでのラウンドも歓迎されており、まさに家族ゴルファーやジュニアにとっては楽園のような環境と言えるでしょう。

ただし、このコースを最大限に楽しむためには、一つ、非常に重要な“割り切り”が必要です。 それは、パッティンググリーンに過度な期待をしないこと。 正直にお伝えすると、グリーンは高麗芝ですが、そのコンディションは「公園の芝生」に近く、ボールが素直に転がる状態ではありません。

本格的なスコアメイクには、残念ながら不向きです。
コースは60ヤードから最長140ヤードまでの全18ホール(パー54)

木々に囲まれたホールが多く、夏場でも日陰の中を気持ちよくプレーできます。ゴルフカートはなく、クラブを担いで歩くスタイルです。

では、このコースの真の価値はどこにあるのか? それは、スコアを気にすることなく、様々な傾斜やライから、納得いくまでアプローチショットを反復練習できる「広大なアプローチ練習場」である、という点に尽きます。初心者がコースの雰囲気に慣れるための第一歩としても、これ以上ない環境でしょう。

アプローチの腕を磨きたい中・上級者から、コースデビューを目指す初心者、そして未来のプロゴルファーまで。様々なゴルファーを受け入れてくれる、懐の深いコース。

それでは、このコースの具体的な攻略法を見ていきましょう。
体験レビュー「1オンは狙うな!」

このショートコースのユニークな性格、そして攻略の鍵は、実際にプレーすることで明確になります。ここでは特定のホールというよりも、このコースで多くのゴルファーが直面するであろう課題と、その具体的な攻略法についてレビューします。

スコアの鍵はグリーンにあり!心構えと対策
まずプレイヤーが向き合うことになるのが、グリーンの難しさです。 1番、2番ホールと進むにつれて、「簡単にはパットを入れさせてくれない」という事実に気づくでしょう。タッチもラインも読みにくい状況は、まさにこのコースの特徴です。
筆者の場合、4番ホールでその洗礼を決定的に受けました。ティーショットがグリーンの端に乗ったものの、そこからまさかの5パット。この経験から、単純にピンを狙うだけではスコアにならないことを痛感させられました。
このコースでスコアをまとめるには、いかにパット数を減らすか、その一点に尽きます。カップ手前で芝がなくなりボールが止まってしまうことすらあるため、常に2パット、3パットの覚悟が必要です。

攻略法は「1オン」より「確実な寄せ」
そこで有効となるのが、「1オン」を最優先するのではなく、「確実なアプローチができるポジションへ運ぶ」という逆転のマネジメントです。

具体的な戦略としては、ティーショットであえてグリーン手前の花道などを狙い、そこから最も得意なクラブ、得意な距離のアプローチでピンに寄せていく、というものです。

筆者の場合はロブショットを多く選択しましたが、一緒に回っていた方がチッパーを活用していたように、ランニングアプローチも有効でしょう。

この戦略に切り替えてからは、難しいロングパットが残る機会が激減し、スコアも安定しました。このコースを攻略する上で、非常に有効な考え方と言えます。
真のハザードはバンカーにあらず

コースガイドにはバンカーの存在が示唆されていますが、実際にプレーした感覚では、ハザードとしてのプレッシャーはほとんどありませんでした。風の影響も少ないためショットが安定しやすく、私たちの組では誰もバンカーに捕まることはありませんでした。

つまり、このコースにおける真のハザードは、砂や木々ではなく、「グリーンそのもの」なのです。
「どうすれば2パット以内で収められるか?」を常に考えさせられるこの環境は、アプローチとコースマネジメントの技術を磨くには、まさに絶好の練習の場となるでしょう。
設備・料金&総括
最後に、プレーを支える設備や料金体系をまとめ、どんなゴルファーにこのコースをおすすめできるか、最終的な評価を記します。
充実の無料サービスとアットホームなクラブハウス

クラブハウスは、ゆったりとしたソファやテーブル席が置かれ、アットホームな雰囲気。夏場にはキンキンに冷えたおしぼりが、そして常時ウォーターサーバーが無料で提供されているという、嬉しい心遣いがあります。

驚くべきは、レンタル品の充実度と価格設定です。

ラウンドの際に便利な小型のキャディバッグ(サブバッグ)はもちろん、7番アイアンからパターまでのクラブセット、さらには子供用クラブまで、すべて無料でレンタル可能。

ボールやグローブの販売もあるので、文字通り手ぶらで訪れてもゴルフが楽しめます。


プレー後には、クラブの洗い場や、

ユニークなブラシ式のシューズクリーナーも完備。至れり尽くせりのサービスが光ります。

驚きの「一日回り放題」システム
料金システムは非常にシンプルで、一日中何ラウンドしてもOKの「回り放題」しかありません。
・一般: 3,000円(全日)
・メンバー: 2,000円(全日)
・6歳~18歳: 500円(全日)
・レディースデー(水曜日): 女性 2,000円
この価格で一日中遊べるのですから、コストパフォーマンスは計り知れません。隣接しているレストランからお弁当を注文し、クラブハウスで昼食休憩を挟んで、午後のラウンドに備える、といった夢のような一日を過ごすことも可能です。

【総括】どんなゴルファーにおすすめか?
ここまでレビューしてきた安曇川スポーツセンター ショートコース。 一言で表現するなら「『スコアを競う』のではなく『ゴルフをとことん楽しむ・練習する』ための最高の遊び場」です。
特に、以下のようなゴルファーやシチュエーションには、最高の場所となるでしょう。
・100ヤード以内の距離感を、納得いくまで徹底的に磨きたいゴルファー
・ゴルフを始めたばかりの初心者や、コースデビューさせたいお子さんがいるファミリー
・難しいルールやマナーは一旦忘れて、純粋にボールを打つことをレジャーとして楽しみたい方
逆に、整備された高速グリーンでの真剣勝負を求める方には、少し物足りないかもしれません。 自分の目的と、このコースの持つユニークな個性を理解した上で訪れれば、きっと忘れられない一日になるはずです。