【教え魔撲滅委員会】ゴルファーに忍び寄る“教え魔”撃退&活用法
ゴルフでは、時に「魔が差す」ことがあったり、連続パーの後に思わぬOBが来る「好事魔多し」があったり、何かにつけて魔物がささやくことがあります。
とはいえ、もっとも恐ろしくて、もっとも迷惑で、はっきり言えばもっともウザイのは、突如として現れる“教え魔”ではないでしょうか。
ゴルフでいう教え魔とは、スイングをひとしきり観察した後、頼んでもいないのに、あたかも専属コーチのようにしつこく指導してくる人のこと。教え魔のほとんどはそれなりのゴルフ経験があるオジサンで、またその多くは「良かれ」と思ってやっているようですが、遭遇した人からすると迷惑でしかありません。
今回はこうした“不幸なミスマッチ”をWin-Winな関係に変えるべく、教え魔の撃退法とともに、その活用法を探っていきます。
「オジサン」→「女性」という構図が圧倒的に多い
と、今回も知ったか風に前振りしてみましたが、筆者自身は教え魔と呼ばれる人に遭遇した経験がありません。
そこでまずは、ゴルフ仲間やスクールでご一緒していた方々などに、教え魔の被害経験について尋ねてみました。
すると、出るわ出るわで、思っていた以上に被害者が多いことに驚かされました。
また、加害者と被害者の構図は、「オジサン」→「女性」が圧倒的に多く、「オジサン」→「若者」という傾向も見られました。
練習場では、「1球打つごとにアドバイスまがいのことを言ってくる」「やたらと褒めるんだけど、ときどき上から目線でアドバイスしてくる」「打席に入ってきてクラブを掴んで動かされた」といったものから、「1時間以上も後ろから見続けられた……」というストーカーまがいの被害に遭った方もいました(恐)。
教え魔は今も昔もあちこちに出現中(らしい)
教え魔は見ず知らずの人だけかと思いきや、一緒にラウンドした人が教え魔に豹変したというケースもありました。
聞けば、「ティーショットからずっとガン見されて、ショット毎にあれこれ言われ、パターのラインも勝手に決められ、外したら打ち方が悪いと言われ……、その人とは二度と一緒に回りたくない!」と、イライラの記憶はかなり鮮明なようです(呼び起こしてしまってスミマセンでした)。
また、ご夫婦でゴルフを嗜んでいる場合、身内という気軽さからついついお節介が過ぎたり感情をストレートに出したりするので、喧嘩になるケースも少なくないようです。
その他、かなりの例外だとは思いますが、40代の男性ゴルファー、しかも片手に近いシングルプレーヤーなのに被害に遭ったというケースもありました。
何でもドライバーでフェードを打つ練習をしていたところ、「もっとこうした方がドローになって飛距離も伸びるよ」と繰り返し指摘されたそうです。最初は無視していたそうですが、「フェードの練習しているんですけど……」と冷めた口調で返して事なきを得たとのことでした。
教え魔のターゲットになりやすい人とは?
被害の実例を見てきたところで、教え魔のターゲットになりやすい人の特徴を探っていきます。
まず、性別でいうと女性、年齢でいうと20代~40代まで幅広く、レベルでいうとビギナーや100切りを目指している人、さらにはスイングに悩んでいる様子が伺える人がターゲットになりやすいようです。
これは、教え魔と呼ばれるオジサン(もはや断定してしまいますが)の側から見ると、自分よりもゴルフの腕前が未熟で、さらには女性だったり若かったりする方が「親切心や親心が刺激される」からだと思われます。
また、教え魔の深層心理には、「自分の知識やスキルをひけらかしたい」「マウントを取りたい」といったものがあるため、精神的に優位に立ちやすい人々が恰好のターゲットになるようです。
反対に、上級者や強面のお兄さんが教え魔に遭遇することは、一部の例外を除けば、ほとんど皆無に等しいでしょう。
その他、「ひとりで練習している人」もターゲットになりやすいです。教え魔のお眼鏡に適う(!?)のは、グループでもペアでもなく、あくまでも“ソロ活”の人。また、練習場が込み合っている土日祝よりも、人の少ない平日の昼間などにぬーっと出没する傾向があるようです。
練習場編:教え魔を未然にブロックする“秘密兵器”
では、ありがた迷惑な教え魔をブロックするには、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。
練習場の場合でいうと、「ひとりでは練習しない」ことも有効ですが、練習の度に誰かとスケジュール調整したり、待ち合わせたりするのは現実的ではありません。また、上達のためには、ひとりで黙々と自分のスイングと向き合う時間も必要です。
そこで用意しておきたい秘密兵器は、「ワイヤレスイヤホン」です。ワイヤレスイヤホンをしている人にわざわざ話しかける人は、ほとんどいないでしょう。
また、ワイヤレスイヤホンでお気に入りの音楽を聴きながら練習するのも悪くないですが、せっかくであればメトロノームやスイングテンポのアプリなどを利用して、スイングに磨きをかけてみるのもオススメです。
もしも音楽が目障りなら、ワイヤレスイヤホンを耳栓代わりにするだけでも教え魔ブロックとしては十分で、外部の音が遮断される分、より集中力が増してくるかもしれません。練習場におけるワイヤレスイヤホンは、一石二鳥以上の働きをしてくれそうです。
ラウンド編:「聞き流しの術」とユーモアを駆使して教え魔封じ
一方、ラウンド中に現れる教え魔に対しては、ワイヤレスイヤホンという秘密兵器を使うことができません。また、ラウンド中の教え魔は、見ず知らずの人ではなく知り合いということがほとんどなので、断り方にも一工夫が必要になりそうです。
そもそもラウンド中のアドバイスは、練習場のそれより気を遣うもので、タイミングや言葉の選び方によっては、相手のペースやスイングを悪い方向に崩しかねません。
なので、仮にアドバイスを求められた場合にも、技術的なメカニズムではなく、「考えすぎないで気楽に~」「ゆっくり大きく振ってみて~」といったイメージ重視で伝えることがほとんどでしょう。
しかし、そうした気遣いがまったく無いのが、教え魔の教え魔たる所以でもあります。
ラウンド中の教え魔をおとなしくさせるには、やはり「聞き流しの術」が効果的でしょう。何を言われたとしても、「なるほど~」と相槌を打つ程度に留め、話がそれ以上続かないようにすれば、教え魔のテンションは次第に下がっていくはずです。
その反対に、変に意見を返すと、教え魔のやる気を促進したり、雰囲気が悪くなったりしてしまいます。
また、「下手なので走ります!」などと言ってカートに乗らず、物理的に距離をとるのもひとつの手段になるでしょう。
それでもしつこくアドバイスしてくる場合は、アドバイス不要という意思をはっきり示すしかありません。
とはいえストレートすぎると角が立つので、たとえば「言われたことがすぐにできたら、わたしプロになれますよ(笑)」「見られると緊張しちゃうので、見ないでください(笑)」などと、冗談交じりに返すと、スマートに撃退できるかもしれません。
教え魔を有効活用すれば、Win-Winの関係が生まれるかも
何かと忌み嫌われる教え魔ですが、「ゴルフが好き」という根っこの部分は共通なはずです。また、それなりの知識や経験があるので、有効活用しないのは少しもったいないという側面もあります。
たとえば、ゴルフには様々なルールやマナーがありますが、ラウンド経験を重ねないと身に付かないものも多々あります。そこで活用したいのが、教えたがりの教え魔です。
スイングには様々な方法論がありますが、ルールやマナーは万国共通。ラウンド前に「ルールとかマナーで至らないところがあったら教えてください」と伝えておけば、ビギナーにとっては絶好の実地経験となり、同時に教え魔の承認欲求も満たされるので、まさにWin-Winな関係が生まれます。
また、教え魔の意識をスイングではなく「マネジメント」に逸らすのもひとつの手段になります。ラウンド中にスイングをいじられるとペースが崩れがちですが、マネジメントは直接的な被害になりにくいし、新たな発見があるかもしれないし、景色などを楽しむ心の余裕にもつながります。
とくに100切りを目指しているレベルの人であれば、マネジメントひとつで、あっさりと100切りを達成するケースも少なくありません。
教え魔と呼ばれる人は、その親切心ゆえに、自分が教え魔になっていることに気がつかないこともあるでしょう。
自分本位にならず、常に相手の気持ちに寄り添い、想像力を膨らませながらアドバイスできれば、あちこちでWin-Winな関係が生まれてくるはずです。
ゴルフの先達ことオジサンと、女性やビギナーとのコミュニケーションが不幸なミスマッチではなく、ゴルフライフにおける“幸せなマリアージュ”になっていくことを願ってやみません。