「ドライバーのロフト角を変えると何が違うの?」
「自分に合ったロフト角の選び方がわからない…」
ドライバーを選ぶうえで、もっとも重要と言っても過言ではないのが「ロフト角」です。
ロフト角選びを間違えると、スコアが一向に改善しないばかりか、下手なスイングの癖を身につけかねません。
反対に言えば、適正なロフト角を選びさえすれば、スコアが一気に伸びる可能性があります。
今回は、ドライバーのロフト角の基本や、選び方について詳しくご紹介します。
ドライバーのロフト角とは?

ロフト角とは、ゴルフクラブを地面に置いたとき、フェースがどれだけ傾いているかを表す角度のことです。
一般的に、ロフト角が大きいほどボールは高く上がり、スピン量が増える傾向があります。
反対にロフト角が小さいほど、弾道は低くなり、スピン量は減ります。
とはいえ、これはあくまで理論上の話。
実際にはプレーヤーのスイング傾向やヘッドスピード、打ちたい弾道などによって、選ぶべきロフト角は変わる点には注意しましょう。
これから順を追って説明します。
一般的なドライバーのロフト角は8~13度
市販されているドライバーのロフト角は、8~13度ほどが一般的でしょう。
男性ゴルファーなら8~10度、女性ゴルファーなら11~13度を使うのが一応のセオリーです。
余談ですが、ドライバー本体やカタログに表記されている「表示ロフト」が、実際のロフト角(これを「リアルロフト」と呼びます)と一致しているとは限らない点には注意しましょう。
ドライバーには「10.5度」と表記されていても、実際には12度近くあるものが少なくないのです。
なぜ表示ロフトとリアルロフトに違いを持たせているかというと、消費者のイメージに関係があるようです。
どうやら男性用ドライバーに「12度」と正直に表記すると、見栄やプライドなどによって消費者から敬遠されがちになるみたいです。
いずれにせよ「表示ロフトとリアルロフトは一致しない」というのが、ゴルフ界では定説
だということは頭の片隅に入れておきましょう。
ロフト角と弾道の関係性
ロフト角は大きくなるほど弾道は高くなり、反対に、ロフト角が小さくなるほど弾道は低くなります。
ロフト角が大きいほど、ボールの打ち出し角度とスピン量が増えるためです。
たとえば全く同じスイングをした場合、9度のドライバーと11度のドライバーとでは、後者のほうが高いボールになります。
これは、7番アイアンとサンドウェッジとを打ち比べたときを想像すれば、理解しやすいでしょう。
つまり、ドライバーで低い球を打ちたければロフトが小さいものを、反対に高い球を打ちたければロフトが大きいものを選べばよいことを示します。
ロフト角と飛距離の関係性
ロフト角の大小によって弾道の高さが変わるということは、一定以上のヘッドスピードがあれば、9度のドライバーのほうが飛距離を稼ぎやすいということになります。
なぜなら、弾道高さが低いほうがより前に飛ばしやすく、より前に転がりやすいからです。
ここまで聞くと「やっぱりロフト角が小さいほうが飛ぶんだ!」と思うかもしれません。
ただし、これはあくまで「無風かつフラットな環境」という状況下でのこと。
かならずしも「ロフト角が小さい=飛距離が出やすい」という意味ではないことを頭に入れておきましょう。
ロフト角が大きいほどバックスピン量が増える
ロフト角には、角度が大きくなればなるほどバックスピン量が増えるという特徴があります。
これはボールに当たった瞬間、ロフト角が大きいほうがより多くの摩擦を得られ、揚力が働くのが理由です。
たとえば7番アイアンとサンドウェッジを比べた場合、サンドウェッジのほうが弾道が高くグリーンに止まりやすくなります。
ドライバーも同様で、ロフト角が大きいものほど高い弾道が打ちやすいです。
ただしキャリーを稼ぎやすい反面、ランを出しにくいというデメリットもあります。
ロフト角が小さいほどスライスしやすい
ロフト角には、角度が小さくなるほどスライスしやすくなるという側面もあります。
これはドライバーとサンドウェッジを比べるとわかりやすいのではないでしょうか?
ドライバーはロフト角が小さいから、スライス回転がかかりやすい。
一方のサンドウェッジはロフト角が大きいためにスライスしにくいと覚えておけば間違いありません。
ロフト角とライ角の違い
ここで、ロフト角とよく似た「ライ角」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
そもそもライ角は、ロフト角とは違うものなので、この機会に整理しておきましょう。
ライ角とは、ドライバーのソールを地面につけたとき、シャフトと地面が作る角度のことです。
これは、おもに打球の方向性やボールのつかまりに影響を及ぼします。
なおライ角が大きいほど「アップライト」と呼び、反対に小さいほど「フラット」と言います。
ロフト角もライ角も、ゴルフクラブを選ぶ際にはとても重要な数値になるので、しっかり覚えておきましょう。
ドライバーのロフト角の選び方

ここまでドライバーのロフト角に関する概要を説明してきました。
内容を読んで「自分に合うロフト角は一体何度なんだ?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか?
ここからは、ドライバーのロフト角を選ぶ際の基準やコツなどを紹介します。
9度と10.5度、どちらを選ぶべきか?
男性ゴルファーの方なら一度は悩んだことがあるかもしれません。
あくまで目安に過ぎませんが、次の基準が一般的とされています。
・ヘッドスピードによる目安
ヘッドスピード | おすすめのロフト角 |
45m/s以上 | 9度 |
40~44m/s | 10.5度 |
40m/s未満 | 10.5度以上 |
・弾道の傾向による目安
弾道傾向 | おすすめのロフト角 |
弾道が低い、キャリーが不足している | 10.5度 |
弾道が高い、吹け上がっている | 9度 |
・曲がり方向による目安
曲がり方向 | おすすめのロフト角 |
スライスしやすい | 10.5度 |
フックしやすい(つかまりすぎる) | 9度 |
なぜスライスしやすい人に10.5度をおすすめするかというと、ロフト角が大きくなればなるほど、ボールはつかまりやすくなるからです。
ヘッドスピードが速い=低ロフトは間違い!
注意点は、上記の表はあくまで目安に過ぎないということです。
ヘッドスピードが速くても、その人のスイング傾向や装着シャフトなどによっては、10.5度以上のロフトが合う可能性もあるからです。
たとえばツアー屈指の飛ばし屋であるダスティン・ジョンソン選手は、10.5度のドライバーを12度に調整していることでも知られています。
反対に、男子よりもヘッドスピードが劣る女子プロ選手でも、9度台の低ロフトドライバーを使っている人もいます。
からなずしも「ヘッドスピードが速い=低ロフト」とは言えないのです。
ドライバーを選ぶときには、試打やラウンドなどを通し、実際の弾道を見ながら自分にもっとも適したものをチョイスしてください。
ロフト角を変えれば「曲がる方向」も変えられる
ここでポイントになるのは、ロフト角というのは、何も弾道高さやヘッドスピードだけで選ぶものではないということです。
先述したとおり、ロフト角を変えれば、球を曲げる方向だって変えられるのです。
たとえばスライスに悩んでいる人の場合は、ロフト角が大きなドライバーに変えることで、スライスが軽減したりフック系のボールが打ちやすくなったりします。
反対に、ボールがつかまりすぎるという悩みがあれば、低ロフトにするとつかまりを抑制することが可能になるでしょう。
このように、ボールの曲がり方向なども考慮すると、ロフト角選びの幅にバリエーションが生まれます。
初心者ゴルファーにおすすめするドライバーのロフト角

初心者ゴルファーの方には、迷わず10.5度以上のドライバーをおすすめします。
理由は次の3つです。
- ボールが上がりやすい
- スライスしにくい
- 変な癖がつきにくい
【理由①】ボールが上がりやすい
ひとつめの理由は、高ロフトのドライバーはボールが上がりやすい点です。
初心者ゴルファーにとって最初の壁は、しっかりとボールを上げて、キャリーを稼ぐことです。
ゴルフを始めて間もない人の多くは、適正なボール高さを稼ぐことができず、飛距離をロスしてしまいます。
10.5度以上のロフトの多いドライバーを使えば、勝手にクラブがボールを上げてくれるため、初心者ゴルファーの方でも簡単に飛距離を出せるでしょう。
なお男性でも、最初は12度や13度といったドライバーを使うのがおすすめです。
【理由②】スライスしにくい
初心者ゴルファーにもっとも多い悩みが「スライス」かもしれません。
初心者に限らず、スライスに悩んでいる人は、迷いなく高ロフトのドライバーを使うことをおすすめします。
先述したとおり、ドライバーはロフト角が大きいほどスライスしにくくなるからです。
ちなみに最近のドライバーは「弾道調整機能(通称「カチャカチャ」)付き」が多いため、ロフト角を大きくして使うのもおすすめです。
【理由③】変な癖がつきにくい
ロフト角が大きいドライバーを使うと、初心者にありがちな「変な癖をつけてしまう」というリスクが少なくなります。
高ロフトのドライバーを使えば、勝手にボールを上げられるだけでなく、球をつかまえることができるからです。
反対に、ロフト角の小さなドライバーを使うと、自分からボールを上げにいったりつかまえようとしたりして、変な癖がつきやすくなるでしょう。
初心者のうちは、できる限り簡単でオートマチックなクラブを使うほうが断然いいのです。
ある程度のスコアでラウンドできるまでは、見栄よりも打ちやすさを重視しましょう。
ドライバーのロフト角を調整する方法

弾道調整機能(通称「カチャカチャ」)付きのドライバーであれば、可能な範囲内でロフト角を調整できます。
やり方はとても簡単で、専用のレンチでネジを緩め、シャフトを回転させるだけです。
なお具体的な方法は下記の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
[button]「カチャカチャの調整のやり方」の記事はこちら
まとめ

今回は、ドライバーのロフト角の基本や選び方を解説しました。
ロフト角選びは、スコアだけでなく、今後の上達具合にも大きな影響をおよぼします。
ぜひ今回の内容を参考に、あなたに合ったロフト角を選んでください。