【意外と知らない】ドライバーの「カチャカチャ」本当の仕組みと使い方
カチャカチャ付きドライバーを持っているけど、思ったほど効果を感じられず、ノーマルポジションで使い続けていませんか?
もしかすると、カチャカチャの使い方を誤解しているだけかもしれません。
そこで、本記事ではカチャカチャの仕組みや使い方の基本をおさらいします。
正しく使うことができれば、きっと強い味方になってくれますよ。
ドライバーの「カチャカチャ」はどんな仕組み?
意外と誤解している人が多い、カチャカチャの仕組み。
メリットを存分に活かすためにも、その機能をしっかり理解しておきましょう。
カチャカチャ=ロフト角とライ角の調整
現在、店頭に並んでいるカチャカチャ付きドライバーのほとんどは、「ロフト角」と「ライ角」を調整できるものです。
この2つの角度をチューニングすることにより、ボールのつかまりや弾道高さ、スピン量を自由に調節できるというのが、メーカー側の説明です。
なお、ロフト角とライ角の組み合わせは10数通り(メーカーにより異なる)におよび、各自の持ち球や癖に合わせた細かいセッティングが可能になっています。
シャフトの挿し方でロフト角やライ角が変わるワケ
それにしても、なぜシャフトの挿し方ひとつでロフト角やライ角が変化するのでしょうか?
これには、シャフトの先端に取り付けられた「スリーブ」に秘密があります。
実は、スリーブをよく観察してみると、やや曲がった「くの字」になっているのがわかります。
つまり、ヘッドにどのように挿すかによって、シャフトの「装着角度」が変化するのです。
たとえば、ロフトを増やすポジションに合わせると、自分から見てシャフトをやや左から挿す形になります。
この状態からシャフトを起こし、フェースをスクエアに合わせると、ロフトが増える(ように見える)という仕掛けです。
なお、ライ角に関しても、これとまったく同じメカニズムになっています。
ヘッド自体のロフト角が変わるわけではない
ここで注意しなければならないのが、カチャカチャによって、フェース面とソールで作られる「ロフト角そのもの」が変わるわけではないという点です。
変わるのは、あくまでシャフトとの関係における「相対的な角度」にすぎません。
要するに、9.5度のヘッドは9.5度のままであり、10.5度のヘッドもまた10.5度のままなのです。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ここを勘違いして失敗する人が多いため、注意しましょう。
「ロフト角」ではなく「フェースの向き」
本記事でもっとも伝えたいポイントは、カチャカチャで調整できるのは「ロフト角」ではなく「フェースの向き」であるという認識に変えたほうがいいという点です。
つまり、誤解を恐れずにいうなら、カチャカチャのメイン機能は弾道の高さやスピン量を変えるものではなく、ボールのつかまりを調整するものだということです。
とはいえ、実際のところ、カチャカチャで弾道の高さやスピン量は変わります。
ですが、たとえば高いスライスに悩んでいる人が「弾道を低くしてスピン量も減らしたい」という理由でロフト角を減らしてしまうと、かえってスライスがひどくなってしまうんです。
なぜなら、カチャカチャの「ロフトを減らす」は、同時に「フェースが開く」を意味するからです。
このように、カチャカチャを「弾道高さやスピン量を調整するもの」と捉えると、失敗の可能性が高くなります。
反対に「カチャカチャはフェース向きを変えてつかまりを調整するもの」だと考えておけば、失敗は少なくなります。
カチャカチャの基本的な使い方
ここまでの内容を踏まえ、カチャカチャの基本的な使い方をまとめると、次の4つになります。
・ロフトを増やすとフェースが閉じる ・ロフトを減らすとフェースが開く ・アップライトにするとフェースが閉じやすい ・フラットにするとフェースが開きやすい
順番に解説します。
ロフトを増やすとフェース閉じる
カチャカチャでロフトを増やすポジションにすると、フェースが閉じます。
これは「くの字」に曲がったスリーブの影響で、シャフトがやや左から挿さる形になるためです。
「ボールをつかまえたいときはロフトを増やす」と覚えておくといいでしょう。
ロフトを減らすとフェースが開く
反対に、ロフトを減らすポジションにすると、フェースは開きます。
これは、シャフトがやや右から挿さる形になるからです。
「ボールのつかまりを抑えたいときはロフトを減らす」と覚えておけば大丈夫です。
アップライトにするとフェースを閉じやすい
「アップライトにする」とは、アドレスしたときクラブヘッドのトゥ側が浮くように、ライ角を大きくする調整をした状態を指します。
これにより、擬似的な「つま先上がり」を作り出し、その結果、フェースを閉じやすくなります。
フラットにするとフェースが開きやすい
一方「フラットにする」とは、ライ角を小さくし、アドレス時にクラブヘッドのヒール側が浮くよう調整した状態を指します。
これによって「つま先下がり」に似た状況となるため、フェースが開きやすくなります。
スライサーにおすすめの調整
以上を踏まえ、スライスに悩むゴルファーにおすすめの調整は次のとおりです。
・フェースを閉じる(=ロフトを増やす)
・ライ角をアップライトにする
フッカーにおすすめの調整
反対に、フックやチーピン、引っ掛けに悩む人におすすめの調整はこちらになります。
・フェースを開く(=ロフトを減らす)
・ライ角をフラットにする
なお、ライ角はフェース向きに比べて弾道に与える影響は少なめなので、微調整程度と捉えておくといいでしょう。
カチャカチャを使えば9.5度と10.5度は一緒?
ゴルファーに多い悩みが、カチャカチャ機能が付いたドライバーの場合、9.5度と10.5度のどちらを選べばいいのかという問題です。
これは「カチャカチャでロフトを変えられるならどちらを買っても一緒では?」と考える人が少なくないからです。
重要なので繰り返しますが、カチャカチャで9.5度のドライバーのロフトを1度増やしたところで「10.5度のヘッド」に変化することはあり得ません。
変わるのは、あくまでフェースの向きだけです。
メーカーの説明を真に受けて「カチャカチャでロフトが変えられる」と安易に選んでしまうと、失敗するので注意しましょう。
カチャカチャのメリットとデメリット
ここからは、ドライバーのカチャカチャ機能のメリットとデメリットをご紹介します。
カチャカチャのメリット
カチャカチャの最大のメリットといえば、低コストでドライバーの弾道を理想に近づけられる点でしょう。
カチャカチャが登場する2009年までは、ドライバーが合わなければ、買い替えるか工房でシャフトの調整をしてもらうくらいしか方法がありませんでした。
しかし、今はカチャカチャ機能付きのドライバーが1本あれば、いつでも自由に弾道の変化を楽しめます。
また、素人でも簡単にシャフト交換ができるため、互換性さえあれば、さまざまなヘッドと組み合わせられるのもメリットのひとつです。
カチャカチャのデメリット
一方、カチャカチャはプレーの途中で変更できない点がデメリットかもしれません。
ルール上、プレー中の調整が認められていないからです。
たとえば、コンペや競技の最中に「スライスばかりだからフックフェースにしよう」と思っても、一度プレーが始まったら変更できないのです。
個人的にはプライベートのラウンドであれば構わないと思いますが、気にする人がいるかもしれないので、念のため声を掛けておいたほうがいいでしょう。
なお、ラウンド中にカチャカチャを使用する場合は、スロープレーにならないようにすることや、他人のショット中は音を出さないよう配慮する点だけはくれぐれも注意してください。
カチャカチャの注意点
ドライバーのカチャカチャはとても便利な機能ですが、使い方を間違えると、事故や破損の原因となってしまいます。
ここでは、カチャカチャを使用するときの注意点や、正しい使い方をご紹介します。
ネジを最後までしっかり締める
カチャカチャのネジは、かならず専用レンチが「カチッ」と空回りするまで、しっかり締めましょう。
ネジが緩んでいると、シャフトが回転してフェース向きが変わるおそれがあるだけでなく、ヘッドが外れて思わぬ事故につながる可能性があるからです。
ちなみに、試合中にカチャカチャのネジが緩んでしまった場合でも、規則4.1a(2)「ラウンド中に損傷したクラブの使用、修理、交換」の規定により、締め直しが認められています。
レンチはメーカー純正品を使う
カチャカチャのレンチは、かならずメーカー純正品を使いましょう。
なぜなら、メーカーによって微妙にサイズや形状が異なるからです。
もし違うメーカーのレンチで締めた場合、ネジ頭をつぶす危険があるだけでなく、メーカー保証を受けられなくなる可能性もあるため要注意です。
スリーブの互換性に注意
シャフトに装着されたスリーブは、メーカーによって形状が異なります。
そのため、たとえばキャロウェイのスリーブが装着されたシャフトを、テーラーメイドのヘッドに挿すことはできません。
また、同じメーカー内であっても、モデルによって使用されているスリーブが違うケースがあるので注意しましょう。
なお、スリーブの互換性については、各メーカーの公式ホームページで案内されています。
偽物に注意
以前から、インターネットのオークションサイトを中心に、偽物のスリーブ付きシャフトやヘッドが数多く出回っています。
メーカー側もホームページ等で注意喚起をおこなっていますが、出品は後を絶ちません。
偽物は性能が劣るのはもちろん、粗悪品で耐久性が低いものがほとんど。
そのため、騙されないように身を守る対策が必要です。
偽物を買わされないようにするためには、信用できるショップでしか購入しないことです。
オークションサイトには「ツアー支給品」や「レア品」などの魅力的な言葉が並び、つい心が動きそうになりますが、常に「偽物かもしれない」という疑いの目を持っておきましょう。
まとめ:初心者こそドライバーのカチャカチャを使おう!
カチャカチャの仕組みや基本的な使い方、そして注意点などを解説しました。
カチャカチャはスイングの癖を補正し、理想的な球筋へと近づけてくれる、とても便利な機能です。
「球筋が安定していない初心者が使うのはどうか?」という意見もありますが、いろんな調整を試しているうちに良い結果が得られるケースもありますので、ビギナーの方もぜひ活用してみてください。