ドライバーに最適なティーの高さとは?ティーの高さで何が変わるの?
「ドライバーのティーアップはどれくらいの高さが適正なんだろう?」
「ティーアップの高さによって飛距離や弾道が変わるって、本当なの?」
ドライバーが飛ばない、スライスするという場合、ティーアップの高さが間違っているかもしれません。
ティーの高さを適正にすれば、飛距離が伸ばせるだけでなく、球筋のコントロールだって可能です。
この記事では、ドライバーに適切なティーの高さや、ティーの高さを変えることによって起こる変化などを解説します。
ドライバーに最適なティーの高さとは?
ドライバーでは、フェース面からボールが半分出るくらいが適切なティーの高さです。
これを基準として、打ちたい球筋、ホールの状況などによってティーの高さを変えます。
なお本記事では、基準(ボールの1/2)よりもボールが高い位置にある状態を「高めのティーアップ」、低い位置にある状態を「低めのティーアップ」と呼ぶことにします。
ドライバーのティーを高くするメリットとデメリット
ドライバーのティーを高くすることで、次のメリットやデメリットが生まれます。
ボールが上がりやすい
ボールがつかまりやすい
テンプラしやすい
それぞれ解説しますね。
ボールが上がりやすい
ティーを高くすることで、ボールをアッパーブロー(ヘッドが最下点を過ぎてからボールにヒットする軌道のこと)で捉えやすくなるからです。
ゴルフを始めたての人のなかには「ドライバーが上がらない」という人が多く、そのような人はティーアップを高くすることで改善する場合があります。
また、意図的に高弾道のボールを打つことで、次のメリットが発生します。
キャリーを出しやすい
追い風だと飛距離が伸びやすい
ドライバーを適正な打ち出し角で打てれば、キャリーが出て飛距離が伸びます。
追い風(フォロー)であれば、風に乗ってさらにビッグキャリーを狙えるでしょう。
一方で、高い弾道には「向かい風(アゲンスト)で飛距離が落ちる」というデメリットがある点は注意してください。
そのため、アゲンストでティーアップを高くするのは得策ではありません。
ボールがつかまりやすい
ティーを高くすることで、インサイドアッパーでボールを捉えやすくなるからです。
たとえば右サイドにOBや池がある場合、ティーを高くしておけば、ボールがつかまりやすくなるためリスクを回避できます。
ただし、過度なアッパーブローは「煽(あお)り打ち」を引き起こし、プッシュアウトやチーピンのミスを引き起こすので注意が必要です。
テンプラしやすい
高いティーアップはフェース面よりもかなり高い位置にボールがあるため、テンプラが起こりやすいというデメリットがあります。
高くティーアップしたボールをフェースの芯で捉えるには、スイングの最下点を過ぎてからボールを捉える「アッパーブロー」が必須です。
ところが、体が左に突っ込んだり上から打ち込んだりすると、ドライバーのクラウン部分に当たってテンプラになってしまいます。
ティーを低くするメリットとデメリット
ドライバーのティーを低くするメリットとデメリットは次の通りです。
方向性をコントロールしやすい
フェード系のボールが打ちやすい
キャリーを出しにくい
方向性をコントロールしやすい
ティーを低くすることで、レベルブローでボールを捉えやすくなり、スイング軌道がオンプレーン(ボールが真っ直ぐに飛ぶスイングプレーン)に近づくからです。
ちなみにレベルブローとは、インパクト前後において、ヘッドがほぼ水平に動く軌道のことです。
レベルブローに振れれば、ヘッドは正しいプレーン上を動き、ボールの曲がり幅を最小限に抑えられます。
フェード系のボールが打ちやすい
低めのティーにすると、ボールのつかまりが抑えられ、フェード系(スライス系)のボールを打ちやすくなります。
これは、ダウンブロー気味にクラブが降りてくることで、スイング軌道がアウトサイドインに近づくからです。
たとえば左にOBや池などのハザードがある場合、ティーを低くしてドライバーを打てば、左へ飛ぶミスを減らせます。
ボールが上がりにくい
低いティーのデメリットは、ボールが上がりにくく、キャリーを出しにくい点です。
高いティーアップにくらべてボールが早くフェアウェイに着弾するため、状況によっては飛距離を大きくロスすることもあるでしょう。
ただし、ボールが上がりにくいことは、決してデメリットだけではありません。
ボールが上がらないということは、風の影響を受けにくいという側面もあるからです。
ティーの高さによって球筋やミスの傾向は変わる
高いティーと低いティーにおける、球筋の違いやミスの傾向などをまとめてみました。
| 高いティー | 低いティー |
球筋 | ドロー系(フック系) | フェード系(スライス系) |
弾道高さ | 高い | 低い |
方向性 | 曲がりやすい | 曲がりにくい |
ミスの傾向 | プッシュアウト、チーピン、テンプラ | ダフリ、スライス、吹け上がり |
ティーの高さは、次のポイントを踏まえて微調整するのがおすすめです。
どんな球筋を打ちたいか?
高弾道か低弾道か?
飛距離優先か方向性優先か?
ティーの高さを変えればリスク回避できる
ここまでの内容を踏まえると、想定されるリスクは、ティーの高さを変えることで回避できることがわかります。
ここでは、状況別のティーの高さをご紹介します。
右に飛ばしたくない場合はティーを高くする
右にOBや池、林、バンカーなどのハザードがあるときは、ティーを高くセットしておけば右へのミスを減らせます。
なぜなら、ティーを高くすることで、インサイドアッパーの軌道でボールを捉えやすくなるからです。
ただし、自分からアッパーに振ろうとしたりボールを上げにいったりしてはいけません。
「煽り(あおり)打ち」になって、プッシュアウトやチーピンといったミスにつながるからです。
ティーを高くしたからといって、過度なアッパーブローの意識は禁物です。
あくまで自然なスイングのなかでボールを捉える意識を持ちましょう。
左に飛ばしたくないときはティーを低くする
反対に、左にOBなどの危険がある場合は、ティーを低くセットすることをおすすめします。
ティーを低くしておけば、レベルブローまたはダウンブローの軌道でボールを捉えやすくなるからです。
ただし、過度に上から打ち込もうとすると、アウトサイドからクラブが入り、左に引っ掛けやすくなるため注意してください。
打ち上げのホールではティーを高くする
ティーイングエリアからフェアウェイが上り坂になっている打ち上げのホールでは、できるだけキャリーを出したいため、高くティーアップするのがおすすめです。
目線を水平よりもやや高くし、いつもより2~3度ほど右肩を下げて構えましょう。
ダウンスイングで上体が突っ込まないように注意しさえすれば、キャリーの出やすい高弾道のボールが打てるはずです。
打ち下ろしのホールではティーを低くする
一方、打ち下ろしのホールでは、低くティーアップするとよいでしょう。
ボールの滞空時間が短くなり、風による影響を最小限に抑えられるからです。
打ち下ろしのホールでは、弾道が低くてもボールが転がってくれるため、飛距離をロスすることはありません。
目線を低くして、レベルブローのスイングを心がけましょう。
追い風のときはティーを高くする
追い風(フォロー)のときは、高いティーアップがおすすめです。
フォロー下で高弾道のボールが打てれば、風が勝手にボールを運んでくれるからです。
ちなみに、風速5mのフォローだと、だいたい5~10ヤードほど飛距離が伸びるといわれます。
向かい風のときはティーを低くする
反対に、向かい風(アゲンスト)のときは、ティーを低くして打ちましょう。
弾道の高さが低くなり、風の影響を最小限に抑えられます。
かつてタイガー・ウッズは、刺すように低空を飛行する「スティンガーショット」を駆使して全英オープンを制覇しました。
四方八方からの強い海風にさらされる全英オープンでは、低く転がる弾道が圧倒的に有利だったんです。
なお、低い球を打とうとして過度にダウンブローに打ち込むと、バックスピン量が増えてボールが吹け上がってしまうので注意しましょう。
ティーの高さに関するよくある質問
ドライバーのティーの高さに関するよくある質問をまとめました。
ティーの高さにルールはありますか?
ティーの長さには制限があり、規則に違反したティーを使うことはできません。
ゴルフ規則によると、「ティーは4インチ(101.6mm)以下の長さ」であることが定められているからです。なお、規則よりも長いティーを使用した場合には、最初の違反で2罰打、2回目の違反は競技失格となるので注意してください。
毎回ティーの高さが変わってしまいます
ティーにあらかじめ目印となる線をマジックで書いておくか、2段式ティーを使うのがおすすめです。
2段式ティーとは、ある一定の深さまで刺すと、それ以上深くは刺さらないティーのこと。
ティーの高さを一定にすると、球筋が安定するのでおすすめです。
ただし、2段式ティーの場合、ティーを高くしたり低くしたりといった微調整がむずかしいので注意してください。
もしティーの高さで弾道を調整したい場合は、木製のロングティーを使うとよいでしょう。
まとめ
今回は、ドライバーに最適なティーの高さについて解説しました。
ポイントをまとめます。
ティーの高さの基準はフェース面からボールが半分出るくらい
ティーの高さによって弾道高さや球筋が変わる
ハザードやホールの状況に応じてティーの高さを変えるのがおすすめ
とはいえ、何の練習もせずに、ラウンドでいきなりティーの高さを変えるのはおすすめしません。
ティーの高さに慣れていないと、ダフリやチョロなどのミスが出てしまうからです。
打ちっぱなし練習場では、さまざまなティーの高さを変えられると思います。
まずはティーを高くしたり低くしたりしながら、どのように球筋が変化するかを確かめることから始めてみてくださいね。