「力いっぱい振っているのにヘッドスピードが上がらない」
「年齢の割にヘッドスピードが遅いのはなぜ?」
ヘッドスピードは飛距離に直結するため、速く振れたほうが有利ですよね。
今回は、ヘッドスピードを上げるためのコツと、効果的な練習方法をご紹介します。
ヘッドスピードと飛距離の関係

ヘッドスピードと飛距離は密接な関係があり、ドライバーの場合「ヘッドスピード ✕ 5.5」でおおよその飛距離を求められます。
ヘッドスピード別の飛距離の目安を表にまとめてみました。
ヘッドスピード | ドライバーの飛距離目安 |
35m/s | 192ヤード |
36m/s | 198ヤード |
37m/s | 203ヤード |
38m/s | 209ヤード |
39m/s | 214ヤード |
40m/s | 220ヤード |
41m/s | 225ヤード |
42m/s | 231ヤード |
43m/s | 236ヤード |
44m/s | 242ヤード |
45m/s | 247ヤード |
46m/s | 253ヤード |
47m/s | 258ヤード |
48m/s | 264ヤード |
49m/s | 269ヤード |
50m/s | 275ヤード |
上記はあくまで目安で、気候や気温、風速、フェアウェイの状況など、コンディションによって変わる点にご注意ください。
また、ドライバーのヘッド性能によっても飛距離は変わります。
平均的なヘッドスピード

日本人ゴルファーの平均的なヘッドスピードは、次の通りです。
・女性アマチュア:30~35m/s
・男性アマチュア:38~43m/s
・女性プロ:40~45m/s
・男性プロ:47~52m/s
同じ女性・男性どうしでも、プロとアマチュアでは平均値に大きな開きがありますね。
筋力的な理由もありますが、プロとアマチュアの決定的な違いは「速く振るコツを知っているか?」が大きいです。
ヘッドスピードを上げるメリット

「ミート率が高ければヘッドスピードを上げる必要はない」という人もいるかもしれません。
ミート率とは「いかに効率よくボール初速を出せたか」を数値化したもので、ミート率が高ければ飛距離は伸びます。
しかし問題は、ミート率には「1.56」という上限値があるという点です。
実際にはプロでも「1.5」あたりが限界で、いくら時間をかけて練習してもそれ以上の数値は出すことができません。
ですが、ヘッドスピードなら、伸びしろはあります。
たとえば男性で40m/sくらいの人なら、コツをつかめば45や48といった数値は射程圏内でしょう。
ミート率を高めて飛距離を伸ばすには限界がありますが、ヘッドスピードを上げれば飛距離はまだまだ伸ばすことができます。
ヘッドスピードが上がらない3つの理由

理由は、次の3つです。
・捻転が足りない
・力の入れすぎ
・シャフトが合っていない
それぞれ解説します。
【理由①】捻転が足りない
ヘッドスピードを上げるには、上半身と下半身の捻転差が不可欠で、捻転が足りないと十分なヘッドスピードを出すことができません。
バックスイングで上半身と下半身に捻転差を作り、一気にねじり戻すことで大きなスピードとパワーを生み出します。
しかし、多くの人は浅いバックスイングから上半身と下半身を同時に動かしてしまうため、ヘッドスピードが出せません。
「年齢とともにヘッドスピードが遅くなった」と感じるのは、筋力低下も一因ですが、柔軟性がなくなって十分なバックスイングが取れなくなったのも原因です。
【理由②】力の入れすぎ
速く振ろうとして腕に力を入れすぎると、次のような弊害が起こります。
・バックスイングが浅くなってしまう
・手元とヘッドが同時に動いてしまう
第一に、腕に力が入ると、同時に肩にも余計な力が入るため、肩が回りません。
結果としてバックスイングが浅くなり、ヘッドスピード不足に陥ります。
第二に、手元とヘッドが同時に動いてしまい、ヘッドが走りません。
ヘッドが走るとは、ヘッドが手元(グリップ)を追い越す状態のこと。
腕に力が入ると、ヘッドの動きがロックされ、手元とヘッドがほとんど同じスピードで動いてしまいます。
ヘッドがいつまでも手元を追い越せないため、ヘッドスピードが出ません。
【理由③】シャフトが合っていない
シャフトの重量やフレックス(硬さ)が自分に合っていないと、ポテンシャル通りのヘッドスピードを出すことができません。
重すぎたり硬すぎたりするドライバーだと、フィニッシュまで振り切ることができないからです。
「ドライバーを変えたら飛ばなくなった」という場合は、もしかするとオーバースペックになっているのかもしれません。
ヘッドスピードを上げる3つのコツ

ここまでの点を踏まえて、ヘッドスピードを上げるための3つのコツをお伝えします。
・腕の力を抜く
・バックスイングで体をしっかり回す
・バックスイングを速くする
ひとつずつ解説しますね。
【コツ①】腕の力を抜く
ヘッドスピードを速くしたいと思うなら、まずは腕の力を抜くことから始めましょう。
ヘッドスピードが遅いのは、力の入れすぎでヘッドが走っていない可能性が高いからです。
手にたくさんの豆ができていたり、グリップしたとき手が白くなったりする人は、力みすぎているかもしれません。
グリップは、ギュッと握ったときを「10」だとすれば、「1~2」くらいの力加減で握りましょう。
よく「ヒヨコを優しく包み込むように」と言われますが、それくらい優しく握ってください。
【コツ②】バックスイングで体をしっかり回す
上半身をしっかり回転させることで、下半身との捻転差が生まれ、本来のヘッドスピードを出せるようになります。
バックスイングでは、胸がターゲットと正反対を向くまで回しましょう。
なお、体が硬い人は、頭を残す意識は捨てて構いません。
頭を少し右に動かす意識を持ったほうが、肩が入りやすくなるでしょう。
【コツ③】バックスイングを速くする
バックスイングのスピードを速くすると、次の2つのメリットがあり、結果的にヘッドスピードが上がります。
・捻転差が大きくなる
・タメが生まれる
バックスイングを速くすると、トップで肩が入りやすくなり、上半身と下半身の捻転差が大きくなります。
また、クラブに強い遠心力がかかるため、切り返しで「タメ」が生まれます。
タメとは、腕とシャフトでできる角度のこと。
タメが深いほど、ヘッドスピードに変換されます。
なお、手だけで速く上げるのはNGです。
おへそを素早く後方に向けるイメージで、体を速く回すように意識してください。
ヘッドスピードを上げる練習方法やドリル

ヘッドスピードを上げるのに効果的な練習方法やドリルをご紹介します。
重いものと軽いものを交互に素振り
筋力トレーニングと速く振る感覚を養うトレーニングを兼ね備えた練習方法です。
次の2つの棒を準備してください。
・重い素振り棒
・ドライバーのシャフト(軽い棒)
重い素振り棒は市販のものでも結構ですし、野球のバットでも、アイアンを2本重ねて持っても大丈夫です。
軽い棒は、ドライバーのヘッドを外してシャフトだけ用意してください。なければ、クラブを逆さに持っても構いません。
まずは重いほうの棒を10回振りましょう。
下半身を使って、体全体でスイングしてください。
次に軽い棒に持ち替え、今度は全力で振ります。
自分のリミッターを取り外すように、スピードだけを意識しましょう。
この練習を3セットほど繰り返してください。
速く振る感覚が、徐々に身についていくはずです。
両手の小指を外して打つドリル
右手と左手、両方の小指を外してグリップすると、力が入りにくくなります。
するとヘッドが走るようになり、ヘッドスピードがアップします。
ちなみに有名なドラコン選手も、試合中に力みが取れないときは、両手の小指を外すことで対処しているそうですよ。
グリップエンドをおへそにつけてバックスイングの練習
バックスイングを手だけで上げる癖がある人におすすめの方法です。
グリップエンドをおへそにつけ、離れないように腰のあたりまで上げる練習を何度も繰り返しましょう。
このとき、手だけで上げると、グリップエンドがおへそから離れてしまうので注意してください。
シャフトを変えるとヘッドスピードが上がる?

ここまでヘッドスピードを上げるためのコツや練習方法をお伝えしてきましたが、クラブ(シャフト)を変えることでヘッドスピードが上がる可能性があります。
ポイントは、シャフト重量とシャフト硬さの2つです
シャフト重量を適正にする
ヘッドスピード別のシャフト重量を表にまとめてみました。
シャフト重量 | 適合ヘッドスピード |
30~40g台 | ~39m/s |
50g台 | 40~43m/s |
60g台 | 44~47m/s |
70g台 | 48m/s以上 |
上記は目安ですが、ご自身のヘッドスピードに合わないシャフト重量になっていないかをチェックしてみてください。
ちなみに、現在は「軽め」を選ぶのが主流で、女子プロでも50g台を使う時代です。
シャフトは軽いほうが速く振れるため、スイングバランスを崩さない程度に軽くしたほうが、ヘッドスピードが上がるかもしれません。
シャフト硬さを適正にする
シャフト硬さについても、ヘッドスピードに合ったものを選びましょう。
硬さが合わないと、スイングのタイミングがずれてしまい、思ったようにスピードが出せないからです。
こちらも目安ですが、ヘッドスピード別の推奨シャフト硬さを表にしました。
シャフト硬さ | 適合ヘッドスピード |
L(レディース) | ~32m/s |
A(アベレージ) | 32~36m/s |
R(レギュラー) | 37~40m/s |
SR(スティッフレギュラー) | 40~43m/s |
S(スティッフ) | 43~46m/s |
X(エクストラ) | 47m/s~ |
柔らかいシャフトは、しなりが発生することでクラブヘッドの抵抗が軽減されるため、クラブが軽くなってスピードが上がります。
ヘッドスピードを上げる方法まとめ

今回は、ヘッドスピードを上げるコツや練習方法をご紹介しました。
ヘッドスピードが上がらない原因の多くは、力の入れすぎです。
ボールがどこに飛んでも構わないので、まずは力を抜くところから始めてみてください。
続けているうちに、ヘッドが走る感覚やコツが理解できると思います。
ぜひお試しください!